「来月、おじいちゃんの七回忌があるんだけど、うちの子まだ2歳で……」
小さなお子さんがいると、法事の案内が届いた瞬間に、こんな不安がよぎりますよね。
お経の最中に泣き出したらどうしよう。走り回ったら、親戚に何か言われるかも。そもそも、小さい子を法事に連れて行っていいものなのか。
この記事では、浄土真宗の僧侶で、二児の父でもある私が、子連れで法事に参加するときの考え方と、具体的な準備をお話しします。読み終わるころには、少し肩の力が抜けているはずです。
結論:子どもと一緒に法事に参加して大丈夫です
先に答えをお伝えします。
子どもと一緒に法事に参加して、まったく問題ありません。
泣いても、ぐずっても、途中で席を立っても大丈夫です。お経の最中に子どもの声が聞こえるのは、私の経験上、ごく自然な光景です。
法事は「静かに座っていられる人だけが参加できる場」ではありません。亡くなった方をご縁に、家族や親戚が集まる場です。そこに小さな子どもがいるのは、むしろ当たり前のことなんです。
子どもが泣いたり騒いだりしたら、迷惑になる?
子連れで法事に行くとき、いちばん気になるのが「まわりにどう思われるか」ですよね。お坊さんと親戚、それぞれの目線からお話しします。
お坊さんは気にしていません
法事のあと、「お経の途中でうるさくしてすみませんでした」と謝られることがよくあります。
でも正直なところ、お経をあげている側は、ほとんど気になっていません。
子どもの声が聞こえてきても、「ああ、小さな子が来てくれているんだな」と思うくらいです。少なくとも私のまわりで、子どもの声に目くじらを立てるお坊さんには会ったことがありません。
親戚の目が気になるときは
気になるのは、お坊さんより親戚の目かもしれませんね。
ただ、法事に来ている年配の方の多くは、自分も子育てを経験してきた人たちです。孫やひ孫の顔を見られるのを、楽しみにしている方も少なくありません。
泣いたら少し外に出る。それくらいの気づかいがあれば、十分だと私は思います。
なぜ子どもが一緒でもいいの?浄土真宗の法事の考え方
ここは少し、僧侶らしいお話をさせてください。
法事のうち、一周忌、三回忌、七回忌など、決まった年に営むものを「年忌法要(ねんきほうよう)」といいます。
法事は「故人のために供養をして、あの世での幸せを願うもの」と聞いたことがある方もいるかもしれません。
ただ、浄土真宗では考え方が違います。
浄土真宗では、亡くなった方は阿弥陀如来のはたらきによって、すでにお浄土に生まれているといただきます。ですから、残された私たちが何かをしなければ故人が困るとか成仏できないとか、そういった考え方はしません。
では、浄土真宗では、法事は何のためにあるのでしょうか?
亡くなった方をご縁として、私たち自身が仏さまの教えに出遇う場なんです。
法事というと、故人のための儀式だと思われがちです。でも実際は、その場に集まった私たちが、故人を通して仏教に出遇う「ご縁の場」。つまり、今を生きている私たちのために、法事は勤まるんです。
そこには大人も子どもも関係ありません。小さな子も、その場にいる大切な一人です。
だから、子どもが泣いたからといって、法事が台無しになることはありません。お経の意味が分からなくても、「おじいちゃんの法事に行ったね」という記憶が、いつか子どもの中でかけがえのないものへと、つながるかもしれません。
子連れで法事に参加するときの準備
何もしなくても問題はありません。ただ、少し準備しておくと親の気持ちがぐっと楽になるので、できることを紹介しますね。
施主やお寺に一言伝えておく
親戚の家や会館での法事なら、施主(法事を主催する人・案内状の差出人)に「子どもも連れて行きます」と一言伝えておくと安心です。
座席を出入り口の近くにしてもらえたり、会館であれば別室を用意してもらえたりすることもあります。
お寺の本堂で行う場合は、授乳やおむつ替えができる部屋があるか、聞いておくといいですね。
子どもの服装は「黒っぽい普段着」で大丈夫
子どもに喪服はいりません。
黒・紺・グレーなど落ち着いた色の服があれば十分です。学校や園の制服があれば、それが正装になります。
小さな子なら、キャラクターがついた服でも気にしすぎなくて大丈夫です。それより、脱ぎ着しやすく、本人が嫌がらない服を優先してください。
正座で足がしびれないよう、ゆったりしたズボンもおすすめです。
あると助かる持ち物
- 音の出ないおもちゃ、シールブック、絵本
- こぼれにくく、においの少ないおやつと飲み物
- おむつ、着替え、タオル
我が家では、法事用ではありませんが、「静かに遊べるおもちゃセット」を袋にまとめています。
普段は出さないおもちゃを入れておくと、子どもも特別感があるのか、いつものおもちゃより長く遊んでくれます。
法事の最中、子どもが泣いたらどうする?
準備をしていても、泣くときは泣きます。それで大丈夫です。当日の動き方を2つだけ覚えておいてください。
席は出入り口の近くに座る
最初から出入り口に近い、後ろの方の席に座っておきましょう。
泣き出したら、そっと抱っこして外へ。落ち着いたら戻ってくればいいだけです。途中で席を立つことは、失礼にはあたりません。
お焼香は子どもと一緒でOK
お焼香の順番が来たら、子どもを抱っこしたまま、または手をつないで一緒に前へ出て大丈夫です。
子どもがやりたがったら、一緒にお香をつまんでみてもいいですね。うまくできなくても問題ありません。
ちなみにお焼香の回数は、浄土真宗でも宗派によって異なります。
分からなければ、お寺に聞けば教えてもらえます。そして、教わった作法を子どもに伝えていくのは、ぜひ親の役目として大切にしてもらえたら嬉しいです。
無理に連れて行かなくてもいいの?
ここまで「連れて行って大丈夫」とお話ししてきましたが、連れて行かない選択も、もちろんありです。
子どもが体調を崩している。親がワンオペで、どうしても余裕がない。そんなときは、無理をしなくていいんです。
浄土真宗の考え方からいっても、法事に行けなかったから故人が困る、ということはありません。
家族の誰かが預かってくれるなら、それに甘えるのもひとつの方法。行ける人が行って、あとで「こんな法事だったよ」と話してあげるのも、ご縁だと思います。
まとめ
子どもと一緒に法事に参列して大丈夫です。泣いても、途中で席を立っても、失礼にはあたりません。
浄土真宗では、法事は亡き人をご縁に、私たちが仏さまの教えに出遇う場です。子どもも、その場にいる大切な一人です。
出入り口近くの席に座る。静かに遊べるおもちゃを持っていく。施主に一言伝えておく。それだけでも、親の気持ちはずいぶん楽になります。そして余裕がないときは、連れて行かない選択をしてもかまいません。
小さな子が法事にいてくれると、場の空気がふっとやわらぐことがあります。どうぞ、あまり気負わずにお参りしてくださいね。

